高橋先生のブログ

45歳の卒業、あとは祈るばかりです

先日、45歳の方が妊娠/卒業されました。当クリニックでも、45歳の卒業は久しぶりなので、いくつか参考になることがあるのでご紹介致します。

41歳の来院でしたが、AMHは幸いに高く、卵子がたくさん残っている状況でした。

AIHを7回おこなった後に体外受精を開始。

3回の採卵でしたが、毎回20個以上の卵子がとれて、胚盤胞も毎回4個ほど保存できました。

すべて、凍結融解胚移植でしたが、なかなか妊娠に至らず、2段階移植、内膜刺激(擦過)法などもおこないました。

その後、慢性子宮内膜炎の検査と、TH1/TH2の免疫能検査も正常。子宮内フローラ(細菌)検査では、ラクトバチルス(乳酸菌)が39%と低かったので、乳酸菌製剤を使用し、採取的には87%まで上昇しました。

高齢の方の妊娠の可否は、主に年齢による胚の染色体異常とされています。したがって、着床障害の検査は、従来は40歳未満の方が対象とされてきました。しかし、高齢であるが故に、なおさら、胚の染色体異常以外の要因を排除するために、慢性子宮内膜炎やフローラ、免疫能などの検査も、早期に受けておいた方がよいかもしれない、と最近考えるようになってきました。高齢の方のチャンスは回数が限られているのですから。実際には、これらの検査は、まだまだ本当に信頼できるかどうかは、途上にあるので、この結果をそのまま盲信してはしてはならないと思います。まだ曖昧さがある事を理解した上で、早めの検査もありうるのかもしれませんね。

この方の、今後も順調に経過するとを祈るばかりです。

ちなみに、今回はおこなってはいないのですが、着床前診断は、このようにたくさんの胚盤胞がある方は、最も良い適応の一例です。現在学会も準備を進めているようで、もう少しで利用できるようになると思います。