2016年ART(体外受精)の全国統計
これが2016年の妊娠率、流産率などの成績です。
およそ35歳ぐらいまでは、妊娠率(青線)は約40%(胚移植あたり)ですが、その後低下し、40歳で約25%、43歳で約15%、45歳で約8%の妊娠率です。
一方、流産率(紫線)は、35歳ぐらいまでは約20%ですが、その後上昇し、40歳では流産率約35%、43歳では50%を越え、44才以上では少なくとも2/3は流産してしまうのです。
採卵しても胚移植できないでキャンセルになったり、妊娠しても流産する方がいらっしゃるので、実際には、ARTの治療をしようとした周期に、出産まで到達する生産率(緑線)は、35歳ぐらいまで約20%(5回に1回)であり、40歳で10%(10回に1回)、45歳では1%未満となってしますのです。
体外受精を40歳からと考えるのは、もう遅めなのですね。当クリニックでは37才以上の方には体外受精をお勧めしていますが、35才を超えたならば、もう体外受精も考えてもよいかもしれませんね。
いずれにしても、女性の年齢が最も関係しているのです。
なお、IVFとICSIの妊娠率、流産率ですが、新鮮胚移植でみますと、胚移植あたり、妊娠率はIVFで22.7%、ICSIで18.2%、流産率は、IVFで25.9%、ICSIで28.5%と、IVFの方がICSIよりも妊娠率が高く流産率は低いのです。ICSIの方が妊娠率が高いと誤解される方がいらっしゃいますが、ICSIは、基本的には受精をさせる技術であり、妊娠率を上げる技術ではないことをご理解下さい。