高橋先生のブログ

前医で、2回採卵4回胚移植後、内膜ポリープ切除後、当クリニックで妊娠された例

前医で、2回の採卵、4回の胚移植で妊娠されなかった方に対し、当クリニックで、1回目の胚移植で妊娠された方をご紹介致します。

この方は、30歳代前半、両側のチョコレート嚢腫(8cm、6cm)の腹腔鏡下手術を受けていました。その後、採卵2回(クロミッド法;採卵2個、アンタゴニスト法;採卵6個)で、胚移植を4回受けてしました。

このような反復不成功症例には、同じ事をしていても良い結果は期待しにくいので、当クリニックでは反復不成功者向けに、再評価の検査と、特殊な検査もおこなっています。特殊な検査としては、DHEAs、亜鉛、ビタミンC,D、活性酸素ストレスなどです。また、再評価としては、卵管造影検査や、子宮鏡検査もおこなっています。

その結果、1)子宮内膜ポリープ、2)ビタミンD低値、3)亜鉛低下症、4)DHEAs低値、5)貯蔵鉄(フェリチン)低値、などを認めました。

これらに対して、1)子宮内膜ポリープ切除術、2)マルチビタミン投与、3)DHEA投与、4)亜鉛投与、5)鉄剤投与をおこなった上で、排卵誘発は、ロング法を採用しました。

その結果、採卵数21個、正常受精卵10個、凍結保存胚6個(初期胚2個、胚盤胞4個)の状況でした。卵かたくさん取れることが期待できるならば、ロング法は使いやすい方法です。

この方は両側のチョコレート嚢腫を手術したにもかかわらず、多数採卵できたのは非常に幸運でした。両側のチョコレート嚢腫を手術すると、一気に卵巣機能が低下することはしばしばあります。両側チョコレートの油種の場合には、片方だけ手術して、反対側は吸引のみにとどめる方法がとられることもあり得ます。両側の手術は、非常に注意して、慎重に考える必要があるのです。

そして、この方は最初の凍結胚盤胞1個の移植で妊娠され、卒業されたのです。

実は前医では、チョコレート嚢腫の手術までしていたのですが、子宮鏡検査を受けていなかったのです。

今回のように、再評価の検査は重要ですね。また、チョコレート嚢腫があると卵子の質は低下しますので、卵子の質を良くするための様々な検査や治療も一つ一つ対応していくことも大切ですね。

この方が、今後も順調に経過して、無事にお子様が誕生されることを祈るばかりです。