高橋先生のブログ

2015年ARTの統計が発表されました!

2015年のARTの統計が、日本産科婦人科学会から発表されました。これは9月に発表されたばかりの最新の統計です。

ARTの登録施設数は607施設で、実際にARTをおこなっている施設は574施設でした。

ARTの施行数は、体外受精新鮮胚移植周期が93,614件、顕微授精新鮮胚移植周期が155,797件、凍結胚(卵)を用いた周期が174,740件で、合計424,151件おこなわれました。

受精方法は、顕微授精がどんどん多くなり、顕微授精は体外受精の1.7倍程度になっています。今後も増えるとは思いますが、安易に顕微授精をすることには、全世界的にも警鐘をならして見直す動きもあるようです。後にお示ししますが、今回の統計でも、顕微授精より体外受精の妊娠率の方が3~4%高いのですね。一方、流産率は顕微授精が約3%高いのです。

凍結周期数は、総周期数の約4割を占めています。今年の当クリニックでの数字もこれとほぼ同じような割合になっています。凍結周期も今後増えていくのでしょう。ただし、全例、凍結胚移植をしている施設もあるようですが、総数でみると、新鮮胚移植をおこなっている周期の方が多いのですね。


そして、出生児数は、体外受精新鮮胚移植で4,629人、顕微授精新鮮胚移植周期で5,761人、凍結胚(卵)移植周期で40,611人でした。全国の出世字数はおよそ100万人ですので、20人に1人がARTでのお子さん、ということになります。

新鮮胚移植での出生児数は、全出生児の約20%に過ぎないのでですね。

顕微授精での出生児数は、体外受精児の1.24倍です。顕微授精の施行数は1.7倍ですから、同じ率では出産しないのですね。受精が可能ならば、体外受精の方が良い数字です。

一方、凍結胚移植の出生児数は、約8割を占めており、今後も凍結胚の利用が進められるでしょう。ただし、これは凍結胚は新鮮胚よりも胚盤胞の比率が多いことも関係していると思います。(このデータは残念ながら統計からは読み取ることは困難で推測ではありますが)

もう少し詳しい統計は、また次回に掲示致します。