高橋先生のブログ

排卵誘発をおこなうならば、しっかり使う方が良かった例

今回は、排卵誘発剤を使用するならば、しっかりと使用した方が良かった?例をご紹介致します。

35才、AMH2.68と年齢相応の卵巣機能を持つ方です。

前医では、3回採卵を試みていました。①ロング法で1個採卵、1個受精、胚移植できず。

                   ②ロング法で5個採卵、2個受精、1個胚移植するも妊娠せず。

                   ③ショート法で、採卵なし。

当クリニックでは、DHEAsが131μg/dlと低く、ビタミンDも22.6pg/mlと低く、また貯蔵鉄の減少も認めたため、DHEAとビタミンD、鉄剤を使用開始しました。

体外受精は、

①HMGアンタゴニスト法(HMG 300単位/日 使用)で11個採卵。スプリットで体外受精の受精卵0。ICSIで5個中4個受精。1個初期胚移植するも妊娠せず。1個胚盤胞凍結。後日、凍結胚盤胞移植し、化学的妊娠。

②ロング法(HMG 300単位/日 使用)で、14個採卵。ICSIで11個中7個受精。初期胚1個、胚盤胞4個凍結保存。

 後日、凍結胚盤胞1個移植し妊娠。卒業しました。 4個凍結胚保存中。


この方は、同じような排卵誘発方法でしたが、採卵数は全く異なっていました。

準備としては、DHEAsを測定して補充し、ビタミンD、鉄などの周辺環境を改善してからの誘発でした。

また、おそらく誘発剤の量も異なっていたのでしょう。排卵誘発をおこなうならば、しっかりと誘発剤を使用して、多くの卵子をとる事が、胚盤胞などの胚をたくさん得られる事につながるのですね。


当クリニックの方針は、卵子がたくさんとれるならば、今の採卵が最も若い卵子であり、最も妊娠する可能性が高いのです。卵巣機能が残っているならば、卵子をでいるだけ取れる方かメリットが大きいと判断しています。

実際には、若い方には、マイルドでも、強い誘発でも、どちらでも妊娠はしやすいので、どちらでも良いのです。高齢で卵巣機能が低下していれば、マイルド方法しか残っていません。

今回のように、中くらいの年齢で卵巣機能が残っている方には、しっかりとした排卵誘発をお勧めしているのですね。