高橋先生のブログ

凍結胚の移送による胚移植の時代

他院で体外受精をして1児出産後、千葉県に引っ越してきた方が、当クリニックでの凍結胚移植で妊娠されて、先日卒業されました。  何を皆さんに伝えたいかと言いますと、この方の凍結胚は、神奈川にあるクリニックで凍結保存されていたものでした。ご本人は、凍結胚を移送して当クリニックで保管し、こちらでの胚移植を希望されたのです。

移送の方法は、輸送用の液体窒素タンクに凍結胚をいれて送るのです。
これは、当クリニックでは初めてのことではなく、当クリニックから広島や九州のクリニックに送ったこともあり、そちらでも妊娠しています。技術的には飛行機での輸送も可能で、そのうちに外国との凍結胚の移送もありうるでしょうし、すでに経験のある施設もあるかもしれません。

今や凍結胚は容易に輸送可能であり、もちろん精子も容易に送れます。
ご存知の方も多いと思いますが、日本の胚凍結技術(特にVtrification:ガラス化凍結法)は世界で最も進んでいるのです。未受精の卵子凍結は、まだ臨床的には良い成績ではありませんが、胚凍結は確立された技術と言って良いでしょう。
実際には、これらの胚の移送には、両クリニックの技術が共に信頼おけることが前提であり、現在では、主に知り合いの医師同士での個人的な信頼関係でおこなわれている程度でしょう。

昨日、できるだけ若いときの胚を凍結保存するメリットをお伝えしましたが、転勤が多い方でもこの方法を利用すれば、そのご心配は多少は軽減されるのではないでしょうか。