高橋先生のブログ

2013年体外受精、凍結胚移植の成績(グラフ)

1213年の体外受精(顕微授精を含む)、凍結胚移植の成績がでました。
皆さんの参考に概略をご報告致します。
今回も、昨年の報告を皆さんにご報告できることに安堵しております。
また皆さんにご報告できる成績を出しているスタッフにも本当に感謝しているのです。
このコメントを見ている方で、なぜ成績報告することに、安堵しているのか不思議に思われる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、これは非常に大切なことなのです。
なぜならば、信頼できる診療をしている施設かどうかは、治療成績をしっかりと開示しているかどうか、が大きな指標のひとつなのです。信頼おける治療をおこなっているかどうかは、なかなかわかりにくいと思いますが、治療成績の公示の有無を、信頼の一つの指標にしてみては如何でしょうか。

(Ⅰ)新鮮胚移植
2013年の採卵周期はおよそ1,400件で平均年齢は38.7歳でした。
新鮮胚の移植が出来なかった方は、およそ300件弱で、その平均年齢は40.1歳です。やはり年齢が高くなるとキャンセルになる率も上がります。
採卵できても、受精卵が得られない、胚の質が非常に悪い、などで、約20%の方が胚移植できずにキャンセルになってしまうのです。
胚移植できた周期が、約1,000周期で、270周期で妊娠(妊娠率26.5%)されました。


 35歳未満では、ほぼ1個移植なので、妊娠率と着床率はほぼ同じであり、それで妊娠率(着床率)が40%と超えています。これは自画自賛となってしまいますが、スタッフががんばってくれていることを示す、胸を張れる数字です。
一方、40歳以上では明らかに成績は低下し、流産率は上昇します。特に43歳以上では、妊娠が継続するのは2~3%の方のみなのです。やはり、女性の年齢が依然として大きな影響を持つのです。

(Ⅱ)凍結胚盤胞移植
凍結胚盤胞移植は、581周期で、265周期で妊娠(妊娠率45.6%)されました。平均年齢は36.3歳でした。


 凍結胚盤胞移植でも、35歳未満では妊娠率は50%を超え、これも胸を張れる成績だと思います。当クリニックでは、胚盤胞移植は、ほぼ100%1個移植なので、これはそのまま着床率と考えて頂いて良いのです。
胚盤胞まで成長するならば、高い妊娠率が得られます。ただし、胚盤胞まで成長するのは、受精卵の50%未満です。したがって、新鮮胚と凍結胚盤胞の妊娠率を単純に比較することは出来ません。

当クリニックでは、基本は初期胚移植ですが、初期胚でも原則1個移植であり、「全部凍結胚にする方法との差は、わずか1個」と言う見方も出来ます。
全部の胚を、胚盤胞まで成長させて凍結保存する方法を採用している施設も少なくありません。しかし、どの方法が最も良いかは明確になっているものではありませんし、すべての方に、一つの方法が最良であるとも思えません。
当クリニックの考え方と、その成績をお知らせ致しました。

いずれの方法にしても、女性の年齢が最も大きな因子です。
最後に、当クリニックでは体外受精のみをお勧めしているのではありませんが、37歳以上の方には、体外受精の選択肢もお考え頂くことをお勧めしています。40歳以上の方は、体外受精をすぐにお考えすることを、昨年のデータをみると、改めて、再度お勧め致します。