高橋先生のブログ

両側卵管切除、AMH<0.1の卒業例

先日、38歳で、AMH<0.1、7回目の採卵、6回目の胚移植で妊娠、卒業された方がいらっしゃいました。
AMH<0.1だけでなく、この方は両側の卵管を子宮外妊娠で切除の既往があり、また、相互転座の染色体の問題もありましたが、それを乗り越えての卒業でした。
初診の時には、すでにAMH=0.43とすでに卵巣機能の低下を認めました。
また、相互転座という、染色体の一部が、別の染色体と入れ替わっている状態でした。ただ、相互転座は、染色体の過不足はないので、子供が同じ染色体の状態でも無事に出産する可能性もあります。また、染色体は2対になっているので、染色体の半分に問題があっても、子供に正常な染色体が遺伝すれば、子供の染色体は全く問題ない状態になります。染色体の問題あると、「正常な染色体の子供は生まれない」と誤解する方が少なくありませんが、そのように決まっているのではありません。
2回目の体外受精で妊娠(初期胚2個、G3b、G4)するも流産。このときには胎児染色体異常を認めましたが、偶然おきた染色体異常であり、母親の相互転座とは関係ないものでした。
7回目の採卵では、5個採卵、2個の初期胚(G4×2)を移植し、妊娠、卒業となりました。
使用したサプリは、アシストワン、メラトニン、DHEAで、エンブリオスコープも使用しました。
この例では、
1)AMH<0.1でも、複数採卵できる事があり、妊娠も可能なのです。
2)相互転座でも、妊娠、卒業可能です。
3)G4でも妊娠、卒業可能なのです。
などが参考になるのではないでしょうか。
様々な問題を乗り越えての卒業であり、今後の経過の無事を祈るばかりです。