高橋先生のブログ

生殖医学会参加報告(その1)2014.12

本日、新宿、京王プラザホテルで、第60回日本生殖医学会学術講演会があり、私も参加してきました。今回は、短時間の参加だったので、主にポスターを見てきたのですが、抄録のみの情報も含めて、いくつか皆さんにご紹介致します。
展示場も含めての、駆け足の参加だったので、参加のアリバイ写真を撮ることを忘れてしましました。いまだにスマホの写真、自撮り、になじめていない自分が情けない、かも。
さて、本題です。

1)メラトニンの長期投与
体外受精の不成功症例に、メラトニンの短期投与(1ヶ月間)では、採卵率や受精率が改善するが、卵胞数の増加は認められなかった。
しかし、今回3ヶ月前からメラトニンを投与すると、卵胞数、採卵数、成熟卵数が、1.5~2倍に増加した。卵子が成熟するのには、80日ほどかかるので、メラトニンも3ヶ月以上の投与は、卵子の質に加えて、反応卵子数の増加も得られる可能性がありますね。

2)卵巣機能低下症例に対して、採卵後に、再度HMG 注射などを行い、卵子を採取する、2ステップ採卵法は、前回のアメリカ生殖学会でも発表されていましたが、日本でもすでにおこなっている施設がありました。平均年齢40.9才。平均採卵数は、初回は0.9個、2ステップ目では0.7個とでしたが、約8割で2ステップ目にも卵子が採取されました。卵巣機能の低下している方で、採卵時に小さな卵胞が数個認められた場合には、2ステップ採卵法を試してもよいと思いますね。当クリニックでも、開始し始めました。

3)以前、当クリニックで、受精確認時に0PN,1PNという、正常受精を認めなかった胚でも、胚盤胞まで分割が進んだ場合には、妊娠し、出産し出生児に異常はなかった。との報告をしましたが、同じように、0PN、1PNでの出産例を報告した施設がありました。やはり0PN,1PN胚は、他に正常受精胚がない場合には、使用する意義があることが、徐々に認められているようですね。

4)ART反復不成功例に対しての、胚移植の前周期の子宮内膜刺激法では、子宮内膜の擦過をおこなった場合には47.7%、コントロール群では24.5%であり、内膜の擦過法が有効であるとの報告がありました。当クリニックでも2回胚移植しても妊娠しない場合には、現在積極的に内膜刺激法をお勧めしています。もう少し多くなりましたらば、皆さんにもご報告致します。

12時を回ってしましたので、報告そのⅠは、ここで終わります。また、まとめてご報告致します。