高橋先生のブログ

単角子宮の方の卒業例

先日、単角子宮の方が、顕微授精後の妊娠で卒業されました。
30代後半で、海外在住の方ですが、帰国しての治療をされたのです。
AMHは年齢相応。精子は不良であり海外在住であったので、精子は凍結保存しました。
採卵に何度も帰国はしにくいので、ロング法で排卵誘発し、14個採卵。顕微授精をおこない、胚盤胞は5個凍結保存できました。
1回目の凍結胚盤胞移植では、妊娠するも6週で流産。2回目の凍結胚盤胞移植で妊娠し、今回卒業となりました。
今回のように、海外在住の方には、凍結胚は多い方が良く、採卵数も多い方がメリットがあるかもしれませんね。幸いにこの方も多くの胚盤胞が得られました。
単角子宮や双角子宮は、必ずしも不妊の原因ではありません。しかし、流産率は50%程度であり、習慣流産・不育症の原因の一つにはなるのです。不妊症と、不育症の原因を混同しないようにご注意下さい。また、単角子宮、双角子宮の方には、移植胚は原則1個とお考え下さい。
なお、単角子宮、双角子宮への手術対策はなく、実際にはどんどん妊娠する事に邁進して頂く必要があるのです。
この方は、子宮卵管造影検査や子宮鏡を受けていなかったので、今回当クリニックで初めて単角子宮の診断がなされました。体外受精の予定でも、子宮鏡や卵管造影検査を受けたことのない方は、少なくとも1度は受けておいた方が良いでしょう。
また、着床障害が気になる方が最近多いのですが、着床障害の明確な検査は、子宮鏡と子宮卵管造影検査で形態的な異常がないことを確認することが最も大切なのですね。現時点では着床障害の明確な血液検査はないことをご理解下さい。
今後の妊娠が順調であることを祈るのみです。
皆さんの参考になりましたでしょうか。今年ももうすぐ終わります。まだまだ私もがんばっていきたいと思います。