高橋先生のブログ

脳下垂体腺腫手術後の妊娠例(2ヶ月つながりです)

20歳代後半の脳下垂体腺腫手術後の妊娠例をご紹介致します。
脳下垂体腺腫の手術後であり、卵巣刺激ホルモンのLH<0.1、FSH0.13をかなり低く、そのままでは卵巣は眠ってしまい、排卵も生理もない状態です。生理をおこすには、ピルなどのホルモン剤を使用しますが、排卵をおこすにはHMG注射が必要です。

前医では、HMG注射でのタイミング12回、AIH4回、体外受精2回(1回目ロング法で7個採卵、2回目はアンタゴニスト法で採卵できず)とのことでした。

当クリニックでは、再度卵管造影検査をおこない、ビタミンDも投与し、HMG注射で排卵誘発し、妊娠され、胎児心拍を確認されました。直前のご紹介例と同じ来院後2ヶ月目でした。(2ヶ月つながりですね) 体外受精を受けていても、体外受精以外の方法での妊娠の可能性も同時に追求してよいのです。

この方に伺うと、HMG注射での排卵誘発で、HCGをうつタイミングは超音波検査のみでおこなっていたそうです。この方のようにLH、FSHが低い方へのHMG注射では、卵胞が2cmと大きくなっていても、卵胞ホルモン(エストラジオール)が低いことがしばしばあります。したがって、HCG投与前にはホルモン検査でエストラジオールがしっかりと分泌されていることを確認する必要があるのですね。また、HMG注射での排卵誘発では、プロベラ、ルトラールなどの黄体ホルモンは必要なのです。使用しないと高温期が短くすぐに生理が来てしまうことがしばしばおこります。

(ちなみに、クロミフェン周期では、黄体ホルモンの使用により妊娠率が上昇することはあまり期待できませんので、クロミフェン周期での黄体ホルモンは当クリニックでは高温期が明らかに短い方にのみ使用しています)

当クリニックでは、体外受精のみをお勧めしているのではなく、(ただ、体外受精もいとわない、すべての方法を考えている覚悟のある方には) しっかりと検査をおこない、少しでも妊娠する可能性を上げる為に治療の可能性をひろく考えていきたいと思います。