高橋先生のブログ

不妊症の定義の変更(学会告知)

本日(9月2日)
日本産科婦人科学会からメールが届きました。
不妊症の定義が変更されたとのことです。新聞やネットでは、このことがすでに報じられていましたが、学会からは本日送られてきました。

前文として、

海外の諸機関(WHO, ICMART, ASRM, ESHRE)がinfertilityの定義を1年の不妊期間によるとしていることから、本会用語集にある不妊(症)の定義の不妊期間について、従来の定義の「2年というのが一般的」を「1年というのが一般的」と変更するのが適当であるとの結論に達しました。わが国において、女性の晩婚化やキャリア形成指向、その他の理由により女性の妊娠する年齢が上昇する中、不妊(症)の定義の変更により、女性がより早期に適切な不妊治療を受けることにつながると期待されます。

そして、新しい定義は以下の如くです。

「不妊(症) infertility, (sterility)
生殖年齢の男女が妊娠を希望し,ある一定期間,避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合を不妊という.その一定期間については1年というのが一般的である.なお,妊娠のために医学的介入が必要な場合は期間を問わない.」

下線は学会が引いており、強調しています。
性交渉をしっかりおこなっていることが前提であるのです。性交渉は多ければ多いほど妊娠しやすいのですが、最近はセックスレスも少なくないので、この点が強調されているのでしょう。
不妊期間は1年になりました。
しかし、1年経たなくても、必要に応じて不妊治療をおこなって良いと明確に示したのです。

以前は、「2年経っていないから不妊症ではないので、不妊症の検査や治療は必要ない」と言われた方もいらっしゃいましたが、今後はこのようなことはなくなります。
治療が必要な方には早期に治療を受けて頂くことが大切ですね。