高橋先生のブログ

生殖バイオロジー東京シンポジウム参加報告(特に着床について)

本日(10月12日)、生殖バイオプロジー東京シンポジウムに参加してきました。


今回は、着床についての特別講演がありました。とてもおもしろかったですよ。
ただ、今回最もうれしかったのは、お会いした知り合いのある先生が、「高橋先生!スマートになったね~。運動しているの?外人みたいに見えたよ~」と言ってくれたことでした。

もっと言って~~~!! 何度も言って~~~!

最大限のお褒めの言葉でした。次回はもう少し派手な格好で参加しようかな!
実際には、運動はしていません。しかし、移転して広くなったクリニック内はダッシュしています。胚移植の度にダッシュしていますので、1日10本を超えることもあります。移転の気苦労??と、自分のためでもあるお付き合いでの昼食はサラダ(主に豚しゃぶサラダが多い:肉も食べるのです)などもあり、移転前後で5kg痩せたのです。現在ちょうど80kgを上下しています。アンチエイジングでは、運動と食事管理が最も信頼の置けるツートップなのですね。

さて、私のことにはあまり興味はないと思いますので、勉強してきたことをご報告いたします。

 

着床でのシンポジウムは、英ウイメンズの塩谷先生の講演が特におもしろかったですね。さすがです。
子宮内膜は、胚の着床には、準備をする刺激が必要である、との事なのです。
実際には、自然では性交渉があり、受精、着床前に、射精された精液の刺激があり、また受精後には卵管内で受精した胚の刺激があり、子宮内膜の着床能力が上昇する、との事なのです。
したがって、2段階移植やSEET法は、前もって子宮内に入れた初期胚や培養液が刺激となって、その後の胚盤胞の着床率が上昇する、との事でした。実際に、胚盤胞1個の移植よりも、SEET法での胚盤胞1個の移植の方が妊娠率が上昇するとのデータでした。
ただ、SEET法では、前もって胚を培養した培養液を凍結保存しておく必要があるので、いきなりは難しいですね。当クリニックでは、2回以上の反復不成功の方には、2段階移植をおこなっていますので、これはキャンセルや前もっての準備もなく、同じ理論は対応できています。白血球の子宮内注入や、HCG子宮内注入法も、これら同じような意義があるのですね。

また、今回初めて聞いた情報としては、通常の体外受精の、採卵前や胚移植前に、性交渉や人工授精をおこなっても、精子が体内に注入されて、それが刺激になり、子宮内膜の着床能力が上昇するのだそうです。これは驚きました。
やはり、性交渉はどんどん持った方が良いのですね。以前から、当クリニックでも、「体外受精周期でも禁欲期間は短い方が良いのです」とお話ししてきましたが、これは主に精液の質からの話でした。しかし、今回は、子宮内膜の着床能力の面からも、性交渉はどんどん持った方が良いのですね。
早速、反復不成功の方への対策のパンフレットを改定しました。
もちろん、最も大切なのは、胚の状態を良くすることですが、
反復不成功の方には、採卵前の性交渉や人工授精の推奨、2段階移植の積極的な施行を試してみましょう。

また、IVF大阪の福田先生からは、子宮内に粘液が貯留する、重症の卵管水腫や、帝王切開瘢痕症候群の方には、積極的に子宮頸管拡張術を頻回におこなうことで、貯留が改善するとの報告もありました。これも当クリニックでも積極的におこなっていきたいと思います。