高橋先生のブログ

AMH<0.1、生理65日目の排卵でのAIH妊娠/出産例

先日、AMH<0.1で、FSH=29.21、生理も30~49日と不順な、かなり卵巣機能が低下していたかたが、生理65日目の排卵でのAIHで妊娠・卒業、そして出産されたとのご報告を受けました。
排卵が遅くても、挑戦する意義がある例ですので、皆さんにもご紹介致します。
年齢は30歳代前半。
生理も不順で、ピルで生理をおこしているような状況でした。AMH<0.1、FSHも上昇し、閉経間近のような状態です。
ホルモン検査、卵管造影検査もあきらめずにしっかりとおこないました。DHEAs=90と低下、ビタミンD=15.4と低下、ビタミンC=8.6と低下。
また、BMIは26.6と肥満傾向にあり、糖負荷試験では、インスリンが高いインスリン抵抗性と、血管年齢も52歳と全身状態も問題がありました。
減量に努め(結果的に妊娠までに4kg減量)、糖代謝改善薬のメトグルコも使用。
治療方針は、「1個でも卵胞があれば体外受精」でした。
HMG注射をしたり、プレマリンを使用したりして、卵胞があれば採卵を試みました。
1回目の採卵では変性卵1個のみ。2回目は採卵できず。3回目は1個採卵でき1個胚移植。
4回目の採卵に向けて、卵胞を超音波検査で確認していましたが、50日目まで卵胞がなかなかできずに、64日目で23×19mmの卵胞を見つけました。E2=282、LH=29.9、FSH9.44、P=1.1とホルモン的にはOK.
生理開始64日目にAIHをおこない、妊娠/卒業されました。(さすがに65日目で体外受精は、当方からもなかなかお勧めしにくいのです)
そして、先日、出産されたとの連絡を受けたのです。
この方には、メトグルコ、アシストワン、DHEAを継続して飲んで頂きました。

排卵は生理2週間目頃が理想的であり、排卵が遅れると卵子の質が良くないため、あきらめて何もしないことがあると思います。
しかし、この方はまれな例ではありますが、卵巣機能が悪い場合には、生理開始65日目でも卵胞ができ、ホルモン的にも問題なければ、タイミング、AIH、体外受精に挑戦する意義がある例といえるのではないでしょうか。