高橋先生のブログ

凍結胚移植前の スポイト(シリンジ)法での妊娠例

先日、30歳代前半の方で、体外受精で採卵後、翌月に凍結胚移植を控えていた方が、スポイト(シリンジ)法で妊娠されました。
この方は、すでに他院で人工授精を7回受けており、体外受精をする事になりました。採卵後全胚凍結となり、翌月、凍結胚移植の予定でした。

採卵後の排卵周期で、スポイト(シリンジ)法で(針なしの)注射器を使って、ご自身で膣内に精液を注入したのです。そして、この周期でなんと妊娠されたのですね。
やはり、体外受精の、合間の周期でも、可能性がある場合には、タイミング、人工授精などもあきらめずにおこなう意義はあるのですね。高橋ウイメンズクリニックでは、少しでも妊娠する可能性を上げるために、このように体外受精のみでなく、すべての可能性を追求しているのです。
なお、甲状腺の検査でTSHが3.8と高めであり、チラージンSを補充してもいました。潜在性の甲状腺機能低下状態には、できるだけTSHが3未満になるように、チラージンSを使用した方が妊娠率も上昇し、妊娠中も胎児にも良いとされています。これも良い結果につながった一要因かもしれませんね。
この方の今後の経過が順調であることを心からお祈り致します。

スポイト(シリンジ)法
明確な定義はないのですが、スポイトを使って、射精された精液を膣内にご自身(または夫)で、膣内に精液をすべて注入するものです。当クリニックでは、2ccや5ccのプラスチック注射器(シリンジ)を使用するのでシリンジ法ということもあります。
対象は、膣内に射精できない方です。つまり、勃起不全で性交渉ができないけれども自分で射精することはできるカップル、性交渉はできるが膣内射精ができないカップル、などが対象になります。妊娠率は人工授精を超えるものではありませんが、簡単に自宅でおこなえるメリットがあります。基本的には精子の状態は正常な方が対象です。
精子の状態が良くない場合には、やはり精子を濃縮できる人工授精の方が適当でしょう。
当クリニックでは、滅菌カップとスポイト(シリンジ)の使い捨てセットで、1回分約500円の費用を頂いています。