高橋先生のブログ

AIH6回後のHSG後の自然妊娠例

移転後1年経ち、体制も落ち着いて整ってきて、すぐの体外受精までは考えていない場合でも、妊娠を積極的に考えている方は受診を受け入れることでできるようになりました。

今回は、一般不妊治療での妊娠例で、HSGの重要性を感じた30歳前半の1例です。
体外受精もできる前施設で、AIHを6回受けて妊娠せずに当クリニックを受診されました。
そろそろ体外受精を考えていらっしゃいました。
当クリニックでもその準備として、HSGと子宮鏡検査を施行しました。子宮鏡検査では1cm程度の子宮内膜ポリープがあり手術も予定していました。
生理が来たらポリープの手術をしましょうとしていたところ、生理が来ないと言うことでした。
HSGと子宮鏡検査を施行した周期に自然妊娠されたのです。
この方は、HSG検査を受けずに、通水検査のみをうけて、AIHを6回受けていたのですね。当クリニックでは、通水検査はあまり重要視しておらず、ほとんどおこなっておりません。通水検査は、開通の有無が不明瞭であり、左右の状態の把握が不可能で、癒着も全くわからないのです。一方、HSGはその後の妊娠率は圧倒的に高いのですね。卵管の通過性を良くする治療目的で、HSGは1年ごとの検査を当クリニックではお勧めしています。
内膜ポリープがあっても、これも絶対的な不妊原因とも言えません。この方はポリープがあっても妊娠された幸運な方ですが、高額な体外受精を予定する場合には、やはりポリープの手術はしておく方がよいでしょう。一方、よりHSGの重要性を示す事にもなりました。

私は簡単におこなえて、妊娠の改善を期待できるHSGを重要視しています。
また、(子宮と卵管の境の)間質部が閉塞している場合には、全国的にも少ないと思いますが、閉塞部側のみにカテーテルを進めて圧をかける、選択的卵管造影開通術もおこなっています。これで通常のHSG閉塞している卵管の半分は開通するのです。
それでも閉塞している場合には、卵管鏡下卵管形成術(FTカテーテル)も日帰りでおこなっています。結構卵管にこだわった治療をおこなっているのですね。