高橋先生のブログ

生殖医療従事者講習会参加報告(2016.12)その1 総論編

23日、天皇誕生日に、生殖医療従事者講習会に参加してきました。
生殖医療専門医向けの講習会であり、生殖医学会が、専門医に守って欲しいことなども話されます。現時点での生殖医学会の姿勢を提示しているので、皆さんにもご紹介致します。

 今回は①総論と倫理、②生殖遺伝と生殖免疫 などでした。






















Ⅰ)生殖医療総論
 最近の変化としては、日本では凍結周期が増えてきており、採卵周期あたりでの妊娠率や出産率の計算が、実態に合わなくなってきているので、単純に比較できなくなってきています。
 世界的には、顕微授精と体外受精は、32%対68%なので、およそ2/3が顕微授精になっているようです。講習会では、顕微授精の適応をしっかりと守るならば、このくらいの数字になるだろうとの話でした。
日本では、25~45才でのART周期数は、100人あたり2.5回の周期でした。これはかなり多いという印象ですが、皆さんは如何ですか?
2010年のデータからの推定として、ARTで一人生まれるための費用は、平均197万円と約200万円かかる計算でした。43才でおよそ1000万円、44才でおよそ2000万円、45才以上では5000万円を超える計算となっています。妊娠の成績からは、42才から43才ぐらいに壁を感じていたのですが、コスト面からもその感覚を指示する数字です。

世界的にも、ARTは増加しているのですが、やはり年齢の壁が依然として存在するのですね。われわれの年齢への挑戦は不可避なものでしょうが、早い時期に妊娠・出産へのアプローチを勧めることも同時に進める必要があるのでしょう。
次回は、生殖遺伝編です。