高橋先生のブログ

3月の妊娠希望セミナー開催!卵巣の手術について思うこと。

3月25日(土)に、今年3回目の妊娠希望セミナーを開催致しました。次回は4月15日(土)です。
今回も20名を越える方が参加されました。今回もカップルでのご参加が本当に多くなりました。
講演内容は、妊娠の成り立ちから、不妊症の検査、一般不妊治療、体外受精、と全般にわたっています。

当クリニックは、体外受精もおこなっているのですが、少しでも妊娠の可能性を広げるために、体外受精のみに治療を限定するのではなく、一般不妊治療も同時におこない、その方の妊娠する能力、可能性を極力引き出そうとしています。








                                                                                                                                                                                                                                                                        皆さん!
妊娠の可能性をご自身から狭めないようになさって下さいね。
性交渉は多ければ多いほど、妊娠しやすいのです。
排卵後も性交渉を持つ方が、女性の免疫は妊娠維持しやすくなるのです。
「排卵日以外は無駄よっ!」なんて考えないで下さいね。

毎回、セミナー後には、個別の相談をしています。
今回の相談で、とても気になったのが、両側のチョコレート嚢腫の手術を受けた方です。
詳しい検査結果や経緯はわかりませんが、その手術後に、卵巣の機能がかなり低下してしまったようなのです。
卵巣腫瘍、特に両側のチョコレート嚢腫の手術には、卵巣機能の低下が著しいことが少なくないので、とても慎重に対応することが必要なのです。

1)まず、5cmを越えるようなチョコレート嚢腫は、1%ぐらいの悪性の可能性があるので、MRIや癌腫瘍マーカーなどの検査をして、癌の疑いがある場合には、迷わず卵巣の摘出のも含めて手術を 受ける必要があります。
2)もし片側の大きなチョコレート嚢腫ならば、癌の可能性が少しでも疑われる場合には、手術を受けることも考えて良いでしょう。
3)問題は、両側のチョコレート嚢腫で、ほとんど癌の可能性がない場合には、両側の手術をするかどうかは慎重である必要があります。チョコレート嚢腫の手術は、他の卵巣腫瘍よりも、手術による卵巣機能の低下が大きいのです。
 また、子宮内膜症、チョコレート嚢腫は、手術で完治するものではありません。(両側卵巣全部を切除すれば再発はしませんが、それでは妊娠は考えられません)手術をしても、完治せずに再発が多いのです。子宮内膜症は、薬を使っても、手術しても、再発することの方が多いので、現在では、子宮内膜症は、完全治癒を目指すのではなく、うまく付き合っていくものと考えられています。
 したがって、両側チョコレート嚢腫の場合には、手術をするにしても、重症の片側を切除して、軽症の方は、チョコレート嚢腫の内容液を吸引して、後は妊娠まで、内膜症の薬を使用したり、ピルを使用して悪化しないようにする、などの、卵巣機能を温存する方法を考える必要があるのですね。
または、あまり大きくないならば、妊娠希望まで、早期からピルを使用するなどの対策も重要なのです。
 妊娠の可能性を残すことと、癌の可能性が残ることを、しっかりと判断して、両側のチョコレート嚢腫に対しての手術を考える必要があるのですね。

  次回の妊娠希望セミナーは4月15日(土)です。皆さん、次回のセミナーもご利用下さい。
 また、掲示板でも、皆様からの質問を承っています。掲示板もご利用下さい。
 なお、掲示板での質問を集めたQ&Aの本も、是非皆さんご利用下さい。