高橋先生のブログ

AIHでどこまで妊娠できる?

先日、39才で、かなり精子が不良な方がAIHで妊娠されました。
この方は、当クリニックでのAIHは初回の方です。

その精子の状態は、
精液量    0.5ml
精子濃度  4260万/ml
運動率    10.8%     と、かなり不良でした。
この精子の状態は、ARTであれば、間違いなく顕微授精(ICSI)が必要です。

処理後の運動精子数、85万(回収率37%)をAIHしました。

当クリニックのデータでは、運動精子数が500万を下回ると、AIHでの妊娠はかなり厳しくなります。

しかし、この方は妊娠され、無事に卒業されたのです。

実際の診療では、AIHでの限界というのは、明確には線引きは出来ません。
今回のように、顕微授精が必要なレベルでも、AIHで妊娠することがあるのです。

したがって、当クリニックでは、全く運動精子がいない場合を除いて、少しでも運動精子がいればAIHをおこなっています。

皆さんも、「重症の男性不妊ではAIHを無駄だ」とは決めつけずに、可能性を少しでもあげるように対応しては如何でしょうか。

なお、この方は、前医で右卵管が閉塞しているとの診断でしたが、当クリニックの再検査で両側の開通が認められました。しばしば繰り返して皆さんにお伝えしているのですが、子宮卵管造影検査も、1回の検査を絶対視しないで、再検査を考えることも重要ですね。