車いすの夫からのTESEで妊娠・卒業例
夫が脊髄損傷で車いす生活の方からの、TESEで精子を採取して、顕微授精をおこない妊娠、卒業された方の例です。
脊髄損傷の方は、射精ができないため、手術で精巣(睾丸)から精子を採取するTESEが必要なのです。
当クリニックでには、千葉大学泌尿器科の市川智彦教授が週に1~2回来て診療をおこなって下さっています。この方のTESEは、当クリニック内で、日帰りでおこないました。午後にお出で頂き、(場合によっては必要ないのですが)今回は局所麻酔を使用し、精子を採取しました。
ただ、精子は採取されましたが、ずっと射精されていないので、精子の運動性はかなり低下していました。これは何年も射精がされていない場合にはしばしばある事なのです。顕微授精でも、正常授精が1/3程度で、胚盤胞まで進んだのは1個のみでした。
その後、凍結胚盤胞移植では化学的妊娠、そして、次の初期胚移植で妊娠され、卒業となったのです。
私もホッとしました。今後も順調に経過して、無事にお子様が誕生される事を祈るばかりです。
今回の参考は、一つには、良い精子を作るには、射精が必要で禁欲するのではなく、性交渉をどんどん持って良いという事です。「必要なのは濃い精子ではなく、新鮮な精子」なのです。また、胚盤胞に行くかどうかは、精子の質も関係するのですね。
市川先生は、主に火曜日の午後と、土曜日も来て頂いています。重症な男性因子や無精子症の方も日帰りでTESEもおこなえますので、ご相談下さい。また、TESEに長時間必要な難しそうな場合には、千葉大学付属病院に入院して、顕微鏡で採取するマイクロTESEもおこなえます。