高橋先生のブログ

日本のART成績(2018年)その1治療周期数と出生児数

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少し遅くなりましたが、昨年10月に日本産科婦人科学会から、2018年のARTの統計がなされました。

これらは、妊娠して、お子様が誕生されてからのデータも入れてからの発表となるので、2018年版が最新データとなります。なお、グラフには、わかりやすくなるように体裁に修正を多少加えています。

1)治療周期数

2018年のARTの治療周期数は、454,893例でした。

新鮮胚移植周期(採卵周期に移植)は、約25万例でした。

体外受精は約8.8万例、顕微授精(ICSI)は約13万例であり(スプリットが2.8万例)、日本でも顕微授精の方が通常の体外受精よりも多くなっているのです。顕微授精が、体外受精の約1.5倍なのですね。これは世界的にも同様な傾向です。

日本は、人口比からすると、最も体外受精をおこなっている(中国を除く)国なのです。治療施設も最も多く、ARTを受けやすい国であり、これは医療体制がそれだけ整っていると言う良い面のあらわれでもありますが、本当はその前に妊娠すると本当は良いのですね。様々な評価がありえます。

 

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2)ARTによる出生児数

2018年のARTによる出生児数は、約5.7万人でした。

およそ16人にひとりが、ARTで生まれているのです。

そして、凍結融解胚で生まれた子は、約4.9万人であり、出生児の約85%が凍結胚移植での妊娠だったのです。新鮮胚移植で生まれた子は、体外受精でも、顕微授精でも、5,000人未満なのです。

日本は、世界で最も胚凍結技術が進んでいるのですが、世界もこの傾向に近づいています。

凍結に対しては、あまり心配されないで良いと思います。