高橋先生のブログ

AIH妊娠2題 その1 卵管閉塞側でのAIH妊娠

右側卵管閉塞があったものの、右卵巣からの排卵時にAIHをおこない妊娠した例がありましたのでご紹介致します。

38才、2013年他院のHSGで右卵管閉塞の診断。
その後、前医で10回のAIHを受けていました。

当クリニックでも4月にHSGをおこない、同様に右卵管閉塞の診断。
したがって、右の卵管が閉塞していることは間違いないだろうと思います。

翌月に体外受精を予定していました。
この周期は人工授精をおこなう予定で、生理12日目と15日目に超音波検査をおこない、右側からの排卵を確認。したがって右側からの排卵も、2回の超音波検査をおこなっているので、勘違いではないと確認できています。

卵管が閉塞している側からの排卵でも、反対側の卵管で卵子が拾われて妊娠する事もありうるとお話しして、性交渉はどんどん持つようにアドバイスしました。
しかし、精子の状態もあまり良くないので、ご本人はAIHをご希望なさったのです。
卵管が閉塞している側からの排卵では、医療従事者側からはAIHをおこなうことは通常していません。しかし、今回はご本人のご希望もあり、卵管が閉塞している側でのAIHをおこなうこととなりました。

当クリニックでは1回目のAIHです。
精子の状態は、3ml、 600万/ml 運動率73% 
そしてこのAIHで、見事に妊娠されました。
これには私も驚きました。

多くの参考点があります。

1)HSGは再検査も重要です。この方は、過去に10回AIHを受けていましたが、HSGは4年前におこなったものでした。今回は、当クリニックでのHSGをおこなった周期のAIHでの妊娠でした。
やはり、HSG周期は、妊娠のチャンスなのですね。また、HSGは1回の検査ではなく、繰り返しも、卵管の通りを良くする治療でもあるのですね。

2)今回経過では、卵管閉塞も、排卵する側も、2回検査しており、勘違いではなく、確実に卵管閉塞側からの 排卵での妊娠が確認されました。

3)体外受精を予定していても、卵管造影検査も重要な検査である事を示す例ですね。皆さん、可能性を少しでも広げるようにしましょう。

4)精子の濃度が、1000万未満でも、AIHで妊娠するのですね。AIHの限界は必ずしも明確ではないのです。濃度が50万でも妊娠することがあります。