高橋先生のブログ

6回の採卵で1回も移植出来ず、11回目の採卵で妊娠卒業

先日、41才の方が妊娠、卒業されました。

この方は採卵11回目の初めての妊娠、そして卒業でした。いくつかの参考点があるのでご紹介致します。

初回から6回は、採卵しましたが、1回も移植出来ません。この方は、HbA1cと随時血糖が高く、ご本人も自覚の無い糖尿病だったのです。

当院では、栄養相談とメトホルミンを使用して、どんどん改善し、HbA1cも正常になってから、体外受精を開始しました。

重症の男性因子があり、顕微授精でもギリギリでもあったのです。またAMHは1未満であり、卵巣機能もかなり低下していました。

最初の6回の採卵で、採卵数0個2回、1個3回、3個1回で、顕微授精でも授精卵が得られませんでした。

7回目の採卵で3個採卵、2個始めて授精し、2個胚移植するも妊娠せず。

その後2回の採卵でも授精卵無し。10回目の採卵で4個採卵、2個授精し胚移植するも妊娠せず。

しかし、11回目の採卵では、なんと7個採卵でき、5個の顕微授精で3個授精し、2個新鮮初期胚移植し、妊娠されて卒業したのです。


初期に胚移植出来なかったのは、糖尿病が関係したのかも知れません。血液データが良くなっても、すぐに卵子の質の改善にはならず、血液データが改善しても半年程度はかかるのかも知れません。なお、不妊症には、糖尿病薬としてのメトホルミンはしばしば使用されます。日本では妊娠するとメトホルミンは使用を避けるように記載されていますが、海外では流産率も低下するので、妊娠中の使用は推奨されているのですね。

サプリメントは、アシストワンとメラトニンを使用していました。

なお、カルシウムイオノファーを顕微授精時で使用したこともありますが、あまり受精率の改善はありませんでした。今回の妊娠周期では、カルシウムイオノファーは使用しませんでした。

採卵数も、最後は7個とたくさん採れました。人間はいつも一定、ではないのですね。今回のように、生理中の小卵胞の数をみて、HMG-アンタゴニスト法をおこない、たくさん採れることもあるのですね。

あとは順調に経過することを祈るばかりです。