高橋先生のブログ

他施設で5回採卵3回移植後の「高刺激」:様々な選択肢シリーズ4


高刺激(排卵誘発)での体外受精の成功例をご紹介します。

この方は今回32才で、2人めの妊娠/卒業でした。

当クリニックには、29歳時に来院。他施設(2施設)で、5回採卵し3回しか胚移植できなかったそうです。AMH=5.26だったので、卵巣過剰刺激症候(OHSS)を避ける目的だったのでしょう。しかし、あまり結果がよくありませんでした。

当クリニックでは、OHSSの可能性をお話しし、高刺激のロング法で採卵しました。

18個採卵し、顕微授精で13個正常授精。胚盤胞10個、初期胚2個保存できました。

そして、2回目の胚盤胞移植で妊娠、第1子を出産したのです。

今回は、出産2年後に来院し、凍結保存胚盤胞を移植し、妊娠して、今回卒業となりました。あと9個の保存胚があります。

この方は、もともとは年齢が若い方でしたので、OHSS予防での排卵誘発は、正しい選択だったと思います。

ただ、それでうまくいかない場合には、今回のようにリスクもとりながら、高刺激をして、たくさん胚が得られれば、キャンセルもなく、一番若いときの胚を保存しながら、1回の採卵で、複数のお子さんを得られる可能性もあるのですね。むしろこの方が、体に優しく、低コストであるとも言えます。最近ではOHSS予防の薬が複数あるので、以前ほどOHSSを個割らなくても良いのです。したがって、最近ではできるだけ多くの採卵をする考えも広がっているのです。

「マイルド法、自然周期、が最も体に負担がない」と考える方もいらっしゃいますが、考え方にもよるのですね。採卵数が少ない方が、体に負担が少ない、とも言えるのです。また、妊娠できるかどうかは、採卵したその方の年齢によって最も影響されます。一番若いときの胚が最も妊娠しやすく、流産しにくいのですね。

これも、様々な選択肢の一つでしょう。うまくいかなければ、おこなってないことを選択してみては如何でしょうか。