胚盤胞の年齢別の染色体異常
生殖補助医療(ART:体外受精など)で妊娠できるかどうかは、胚の状態、胚の染色体異常の有無が最も大きく作用します。目安としては、妊娠するかどうかの70%程度は胚の状態によると考えられています。そのほとんどが胚の染色体異常の有無なのです。そそて、その染色体異常の有無は女性の年齢により異なります。
当クリニックでは、昨年より着床前診断(PGT-A)の臨床研究に参加しており、胚盤胞の染色体検査をおこなっています。
今回、一般的な年齢別の胚盤胞の染色体の有無のデータをお示しします。
年齢別の「正常染色体」の胚盤胞の割合(%)です。
35才未満 約60%
35~37才 約50%
38~40才 約40%
41~42才 約20%
43才以上 約10%
ざっくり言うと35才でも半分は染色体異常、40才では3個中2個は染色体異常、40才を超えると5~10個に1個だけ正常な胚である、とも言えるのです。
そして、染色体異常の発生の比率は、排卵誘発方法では影響されないとされます。
したがって、高齢であるほど、たくさんの卵子を採卵して、たくさんの受精卵を作ることが、正常染色体の胚を得られる可能性が高くなるのです。
卵巣機能がかなり低下している方は、強い排卵誘発をしても多くはとれない事が多いのですが、卵巣機能がある程度しっかりしているならば、できるだけ若いときの卵子をたくさんとれるような方針を当クリニックではお勧めしているのです。