高橋先生のブログ

慢性子宮内膜炎の存在と対策 着床障害の一因?

2017南房総不妊研究会(慢性子宮内膜炎)

8月25日(金)、南房総不妊研究会に参加しました。私も一応、世話人なのです。

今回は滋賀医科大学の木村文則先生の「慢性子宮内膜炎の病態と治療戦略」がとても面白かったのです。

着床障害の一因として最近注目を浴びています。

従来の着床障害は、子宮内腔に子宮内膜ポリープや子宮筋腫などが張り出していると、物理的に着床障害が起こることを指していました。したがって、子宮鏡と子宮卵管造影検査、超音波検査などはその検査法だったのです。

しかし、今回は、反復不成功の方の子宮内腔の、内膜の感染細胞の病理検査、子宮鏡やばい菌検査をすると、子宮内膜ポリープ、子宮内膜症、マイクロポリープのある方、達に、高頻度に慢性子宮内膜炎が存在すること、そして、ビブラマイシン(ドキシサイクリン)などの抗生物質を2週間使用すると、かなりの頻度で慢性子宮内膜炎が治癒して、妊娠率が上がるというものでした。

妊娠する最も大きな問題は、胚の染色体異常であることは、今でもその通りなのですが、良好胚を2回以上移植しても妊娠しない場合には、従来とは異なる着床障害があり得ると考えることもできます。

今回の慢性子宮内膜炎は、有力な着床障害の一つなのです。

問題点は、慢性子宮内膜炎の診断基準が、まだ一般的に認められているのではなく、診断が難しいのです。

しかし、これについては当クリニックでも、診断と治療をすぐに導入する予定です。

9月から、すぐに開始できるように致します。

詳しい方法を明確になり次第皆さんにお知らせいたします。