高橋先生のブログ

右卵管切除後、左卵管子宮外妊娠、MTX注射治療後のAIH妊娠例

新年明けましておめでとうございます。
今年は元日から、ひとけのない工事中のクリニックに来て仕事を始めました。
今まで以上に仕事に邁進する年にしたいと思います。

さて、仕事始めは前年に妊娠された方々のご紹介です。
ご紹介するのは、簡単妊娠されたわけではなく、ぎりぎりのところで妊娠された方々のご紹介が多くなるのですが、皆さんの参考になれば幸いです。

まずは、長い表題の方の妊娠例です。
30歳代前半の方ですが、過去に5回妊娠されていますが、1回は子宮外妊娠で卵管切除、反対側もその後子宮外妊娠でしたが、メトトレキセート(MTX)という一種の抗がん剤を使用して、 手術せずに治療された方です。クラミジア抗体は陽性で、過去にクラミジア感染したことを強く疑わせます。
一般的には、子宮外妊娠は卵管膨大部妊娠が多く、腹腔鏡下に卵管を切除することが多いです。この方は2回目の子宮外妊娠の時には、卵管の保存手術は困難であり、MTXを使用して治療できた方です。MTXが使用できるのは、心拍がなく、HCGのホルモン値もそれほど高くないような、あまり活動性が高くない場合が対象です。胎児心拍があるような活動性が高い子宮が妊娠には適応ありません。しかし、最近ではMTXを使用することも多くなっています。当クリニックでもMTXを使えないわけではないのですが、子宮外妊娠はいつ妊娠部位が破裂して、腹腔内に出血するか分からないので、緊急で腹腔鏡手術などを出来る施設でないと、子宮外妊娠例の対応は難しいのですね。

さて、この方は、MTX使用によって、片側の卵管は残っているのですが、正常かどうかは分かりません。卵管造影検査をおこない、残存卵管が開通していることを確認しました。
このような経過の方は、通常は体外受精をお勧めしており、この方にも体外受精をお勧めしていたのですが、ご本人の希望もあり、人工授精をおこないました。
そして、HSG施行10ヶ月後の、クロミッド-AIH(4回目)で妊娠されて、卒業となったのです。

一般的には、このような経過の方には、すぐに体外受精を強く勧めるのですが、HSGで残存卵管は正常であり、ご本人の希望もあり、AIHを継続しました。
まずは、やはりHSGはおこなっておいて良かったと思います。
子宮外妊娠になる可能性は、通常よりも高いことは、ご理解頂く必要がありますが、性交渉やAIHも無駄と決めつけずにおこなってみるのも選択肢なのですね。