高橋先生のブログ

卒業例から学ぶ不妊治療(5)重症乏精子症のタイミング法妊娠

重症の乏精子症でも自然(タイミング法)妊娠し卒業された方です。
この方も子宮卵管造影検査をしておいて良かったのですね。
重症の乏精子症だと、「子宮卵管造影検査や人工授精は全く無意味」と決めつけて、おこなわないこともしばしば目にします。しかし、当クリニックでは、皆様の自然の妊娠の可能性を大切にして、これらの検査や治療法も過小評価する事はしていません。まずは初期にはしっかりと検査もおこないましょう。
この方の精子検査の状態は、
1回目 精液量 3.8ml  濃度:83万/ml  運動率 20%
2回目 精液量 3.7ml  濃度:運動率 カウント不能 スライド上に 正常運動精子1個 奇形精子2個 
これは、顕微授精でもギリギリの精液所見です。泌尿器科の診察でも顕微授精を勧められて、その予定としました。
しかし、生理が来たら顕微授精開始の周期で、生理が来ることなく、精液検査の2ヶ月後にはタイミング法で妊娠して、来院後3ヶ月で卒業となったのです。
精液所見はかなりばらつきます。精子があまり良くない状況でも、子宮卵管造影検査や性交渉はしっかりと持って頂くことをお勧め致します。