高橋先生のブログ

卒業例からみる治療法(1) 卵管水腫への対処法

今後、卒業された方の例から、皆さんに参考になる治療例をご紹介していきたいと思います。
35歳、他院で採卵5回、胚移植5回受けて、1回は妊娠・流産。
当クリニックでの子宮卵管造影検査では、左の卵管水腫(34×21mm)を認めました。2年前の子宮卵管造影検査では正常との判断でした。
子宮鏡では子宮内は正常でしたが、子宮内フローラ(細菌叢)検査では、ラクトバチルスが0.1%と子宮内環境も不良。この結果は、卵管水腫の影響もあったと推測されます。
当クリニックでは、12個採卵し、体外受精(ふりかけ法)で6個正常受精、6個が胚盤胞になりました。そして、胚移植の直前に卵管水腫内容吸引(約8cc)をおこない、1回目は化学的妊娠、2回目は陰性、3回目の胚移植で妊娠し卒業しました。
対策として、
1)卵管水腫内容吸引
2)フラジールの抗生剤投与+乳酸菌製剤内服(レベニン+ビオスリー)+ラクトフェリン内服
3)3回目の胚移植では、更に、膣内に乳酸菌製剤(インバグ)の挿入
4)それ以外に、亜鉛の低下、銅の上昇があり、亜鉛投与による補正
などをおこないました。
原因は一つとは限らないので、可能性のある原因へのそれぞれの対策が、複数必要になることが多いのですね。

参考点としては、
1)体外受精でも、反復不成功例には、子宮卵管造影検査での卵管水腫の確認が必要です。
2)卵管水腫の対処法には様々ありますが、手術が悪影響の排除には最も確実ですが、他の方法を試してみることは可能です。
 超音波検査でもわかる卵管水腫は重症なのですが、重症の卵管水腫があると妊娠率は1/2~1/3に低下し、流産は2倍になるのです。
対処法は、手術による卵管切除、卵管切断や卵管開孔術などがあります。手術以外では、一時的ではありますが、胚移植直前の卵管水腫内容吸引や、アルコール固定術などがあります。どちらを選ぶかは、相談の上での判断になります。

3)子宮内フローラはまだ議論があるのですが、反復不成功例には参考にされても良いでしょう。これは次回にまた説明致します。