高橋先生のブログ

卵子凍結:日本経済新聞から

5月2日の日本経済新聞に、卵子凍結の記事が大きく載っていました。
「キャリアか出産か」両立に悩む働く女性に、「卵子凍結」が広がっているとの報告でした。
35才の女性が18個の卵子を凍結して、費用は80万円以上。未受精卵の移植あたりの妊娠率は3割程度。
生殖医学会は、加齢による卵子凍結を認めたが、日本産科婦人科学会は「推奨しない」との立場。
専門家でも意見は分かれるところです。
当クリニックの現状は、加齢での卵子保存は承っておりませんが、がん患者さんへの緊急の卵子凍結は受けております。
一般論としては、卵子凍結も、女性の選択肢が増えること自体は悪いことではないと思います。しかし、加齢による卵子凍結を積極的に推奨するものではありません。
記事内でもありましたが、「卵子凍結で妊娠時期を遅らせても将来両立できる環境が整うとは限らない。女性が働きやすい環境づくりが先決だ。」という意見には賛同します。

一方、結婚されている方への卵子凍結はあまり意味がありません。受精卵の凍結の方が成績が良いので、おこなうならば卵子凍結ではなく、受精卵(胚)凍結の方が良いのですね。
コロナ禍で、妊娠/出産数も激減しています。社会の将来の為にも、今おこなうべきは、女性が安心して妊娠・出産できる社会を作ることなのだと思います。これについては、私達も考えて、何か行動をおこしていきたいと思います。